#0075 出生率はなぜ低いのか 〜原因をより多面的に解明すべきではないか〜 (株式会社環境総合研究所 池田こみち)
さっそくというか、朝日新聞の「妊娠初期の男児死産の比率、女児の10倍に(URL:http://www.asahi.com/science/update/0702/004.html)」を引用しているウェブサイトがあった。「死産の実数の減少をも一緒に引用しているのかで引用者の誠実さが測れるだろう」と私は書いたが、このサイトはどうであったろう。
そんな折り、7月2日の朝日新聞夕刊に「妊娠初期の死産 男児、女児の10倍」というタイトルの記事を目にした。ご覧になった諸氏も多いと思うが、念のため、その内容を以下に紹介する。同日、北海道旭川市で開かれた日本臨床環境医学会で発表された内容だ。発表は、日体大の正木健雄名誉教授(体育学)ら4大学の研究グループの調査によるもの。
このごろ講演会や報告会などで各地を訪問すると、幼児連れの若いお母さんも多く、「このごろなんか、男の子が少ない気がする」という声をよく聞いていたこともあり、妙にこの研究発表には納得させられてしまった。 確かに、雇用上の男女の不平等、家庭での不平等にはじまり、ハード・ソフト含め、女性・母親・子供をとりまく社会的なケアやサービスの不備が「子供は産まない」ことの大きな理由であり背景となっていることは間違いない。もちろん、意識しないまでも、経済面、社会面、環境面を含め、漠然とした将来の見通しの暗さ、不確実性に起因する不安もその要因として無視できない。しかし、それ以前に人間は動物であり生き物なのであり、既に生物学的に妊娠しにくい状況、出産まで無事にたどりつかない状況というものが確実に進行しているということも当然あるはずである。 |
朝日の元記事にある、「死産の実数は79年の8万2311人から02年の3万6978人に減り続けている。これは出産全体の3%程度で、出生率の男女比の推移にはほとんど影響していない。」という部分は引用されていない。元記事では、正木名誉教授の言葉の前に死産の実数についての段落があるのだから、本来なら「(中略)」という注釈が必要だろう。それ以前に、元記事には「出生率の男女比の推移にはほとんど影響していない」とあるのだから、「男の子が少ない気がする」という若いお母さんの声をもってこの研究発表に納得させられてはいけない。「既に生物学的に妊娠しにくい状況、出産まで無事にたどりつかない状況というものが確実に進行しているということも当然あるはず」とも言えない。死産率は減少しているのだ。
出生率が低い原因に関して多面的に解明すべきであるということには賛成する。出生率の低下は社会的な要因がほとんどであると私は考えるが、それでもダイオキシン等の「化学物質」に一因がある可能性について検討することも必要かもしれない。しかしながら、新聞記事の自説に都合の悪い部分を故意に省略して引用するばかりか、出生率の男女比にほとんど影響していない事実、死産の実数が減少している事実とは正反対のことを読者に誤解させるような記述は、誠実とは言いがたい。池田こみち氏は、不誠実にも、出生率の低下に化学物質の暴露等の生物学的な要因があるという自説に都合の悪い部分を故意に切り取った、不完全な引用をしているのだ。
ちなみに、株式会社環境総合研究所の所長であるところの青山貞一氏は、テレビ朝日ニュースステーションの1999年2月1日の所沢ダイオキシン報道に出演していた。市民のための環境学ガイドの当該記事。所沢ダイオキシン報道の件も、今回と同じ構図、つまり都合の悪い事実を隠すことによって読者/視聴者をミスリードさせているという構図が見える。環境総合研究所は「個人的社会正義の実現のためには、どのような方法論をとっても良い」と考えているとしか思えない。(2004.7.9)
#0074 妊娠初期の男児死産の比率、女児の10倍に (朝日)(URL:http://www.asahi.com/science/update/0702/004.html)
朝日の記事より。「臨床環境医学」ってとこでアンテナが立った。
死産の胎児のうち、男児の占める割合が、妊娠初期の12〜15週では女児の10倍を超え、妊娠全期間でも2倍以上に達していることが、日体大の正木健雄・名誉教授(体育学)ら4大学の研究グループの調査で分かった。死産に男児が多いのは従来、知られていたが、妊娠初期の極端な偏りが判明したのは初めて。2日、北海道旭川市で開かれる日本臨床環境医学会で発表される。
研究グループは出産や死産の性比に影響を与える因子があるか調べるため、厚生労働省の人口動態統計で、中絶を含めた死産について解析した。
男児の死産の割合は、72年ごろから上昇。同統計で、死産が妊娠12週以降4週ごとに記載されるようになった79年には、12〜15週で女児1に対し男児は3.51だったが、90年に6.72、02年には10.02に増えていた。
男児の死産の割合が増えているというのは事実のようだ。正木名誉教授は「妊娠初期の胎児に異変が起きていると見なさざるを得ない。国は原因解明に努めるべきだ」と話しているという。この記事から、いろんなことを読み取る人がいるだろう。「電磁波」や「化学物質」とくに「環境ホルモン」の影響によるものであると考えたがる人がいることは、容易に予想できる。しかしながら、朝日の記事は以下のようにも伝えている。
死産の実数は79年の8万2311人から02年の3万6978人に減り続けている。これは出産全体の3%程度で、出生率の男女比の推移にはほとんど影響していない。
死産の実数は減っている。死産性比の変化にはなんらかの説明が必要だが、環境の悪化のみでは死産の実数の減少は説明できない。もしかしたら、「環境ホルモン」によって男児の死産が増えたが、全体としては医学の進歩等々によって死産が減っているという可能性は否定できないが、もっと別の説明のほうが見込みがありそうに私には思われる。この記事だけで「やはり環境が悪化している」と安易に結論づけてはならない。この記事が引用されるときには、死産の実数の減少をも一緒に引用しているかどうかで、引用者の誠実さを測ることができるだろう。(2004.7.3)
#0073 佐々木顕によるウイルス進化論批判(PDFファイル)、中原・佐川の反論と佐々木顕による再反論(PDFファイル) (Networks in Evolutionary Biology, 1987年) 最新の情報でもなんでもないです。ウイルス進化論批判は、私がやらなくてもすでに15年以上前にプロがやっていました。(2004.6.27)
#0072 アロマセラピーのマッサージがうつ病治療に効果 (朝日) 「植物から抽出した芳香性のオイル(精油)で体をほぐすアロマセラピーマッサージがうつ病の治療に効果があることが、京都府立医大の今西二郎教授ら微生物学と精神科のグループの研究でわかった。抗うつ薬などを使う治療の補完療法として期待される。 」対象は軽症のうつ病と診断された5人。1回30分のアロママッサージを週2回ずつ4週間実施し、ハミルトンうつ病評価尺度によって変化をみた。記事を読む限り対照群はなさそう。まあ、軽症のうつ病にだったら効いてもおかしくはなさそうだけど、なぜにわざわざ微生物学のグループがアロマテラピーのスタディなのか。しかも、なぜに朝日が記事にするのだろう。今西教授は「エステとしてだけでなく、西洋医学を補う医療としてのアロマセラピーにも目を向けていただきたい」と話しているのだそうだ。(2004.5.23)
#0071 伊で「クローン人間3人誕生」と医師、詳細は明らかにせず (朝日) 忘れた頃にヒトクローンの続報。以前のトピックスその1、その2。【同氏が直接関与したかや3人の性別、国籍などについては「タブーなので答えられない」として明らかにしなかった。】 言ったもん勝ちの世界。ラエリアンのときと比べて、話題性もほとんどない。何で朝日は記事にしたんだろ。(2004.5.7)
#0070 摂食障害の素人治療で3億円集める…すがる患者数百人 (YOMIURI ON-LINE) 摂食障害の悪徳ビジネスの続報。【所得税法違反(脱税)で3月、東京地検に起訴された山形賢二被告(54)は、5年ほど前から摂食障害の女性のカウンセリングを行い、治療費の名目で、起訴対象となった2年間だけでも約3億円を集めた。1回8万円の“治療”を受けた人は数百人に上り、「いかがわしい行為をされた」と訴える女性もいる。治療法の確立していない病気に苦しむ大勢の患者が、素人療法にすがり、被害に遭っていた。】この記事は、通常の医療機関において、治療が困難な疾患の患者さんのケアが不十分であるという点も指摘している。普通の病院で満足のいく治療が受けられれば、詐欺的療法に引っかかる人はずいぶん少なくなるに違いない。いろいろな理由で、すべての患者さんが満足できるということにならない以上、詐欺的療法がなくなることはないだろうが、それでもできるだけの努力を医療従事者はしなくてはならない。(2004.4.23)
#0069 アガリクス茸で劇症肝炎発症?60歳代男性が死亡 (YOMIURI ON-LINE) 神戸新聞の記事。【ガンを抑える効果などがあるとされる「アガリクス茸(たけ)」の粉末の健康食品を服用した神戸市内の60歳代の男性が、劇症肝炎を発症して死亡し、入院先の国立病院機構神戸医療センター(同市須磨区)が「主にアガリクスが原因と疑われる」と市などに報告していたことが11日、わかった】とのこと。臨床的にも、劇症肝炎まで至る事はないにしろ、健康食品が原因と疑われる急性肝炎は珍しくない。急性肝炎を診るときには、薬剤・健康食品の服用歴をきちんと問診することが必須とされている。医師から処方される薬剤でも肝障害は起こりうる。しかし、健康食品については、副作用の発生率や効果が明確になっていないことが、通常の薬剤と異なる。健康食品を服用する際には、肝障害他なんらかの副作用が起こりうることを自覚し、体調不調を感じたら直ちに服用を止め、医師に相談するべきである。「好転反応」という概念には科学的な根拠はなく、健康食品の使用を継続させようとする悪徳業者の言い訳となっている。(2004.4.12)
#0068 スズメバチ攻撃のミツバチに「覚悟」遺伝子 (YOMIURI ON-LINE) 「外敵を激しく攻撃するミツバチの脳には、特定のウイルスが感染していることが、東京大の久保健雄教授(動物科学)のグループの研究で明らかになった。巣を守るため命をかけて敵に立ち向かう行動は利他的な本能と考えられているが、ウイルス感染によって攻撃性が高まっている可能性があるという」とのこと。医学都市伝説でも取り上げられていた。要するに、ウイルスが本能的な利他行動を引き起こしているかもしんない、ってこと。ウイルス進化論が好きな人たちは大喜びするかもしれないが、(この記事の内容が事実だとして)私には寄生者による宿主操作の一例である可能性が高いように思う。寄生虫が宿主の行動を操作する例を、ドーキンスは「延長された表現型」で複数紹介している。ネット上では、次の宿主に食べられやすくするように、アリを操作する吸虫や、魚を操作する寄生虫の記事を発見した。寄生虫が宿主の行動を操作できるのであれば、ウイルスが宿主の行動を操作できたってよいではないか。ハチの個体から見たら利他的行動でも、ウイルス(覚悟遺伝子)からみたら利己的な行動かもしれない。敵に立ち向かう行動は、覚悟遺伝子の延長された表現型というわけだ。この仮説は、ウイルスの感染経路について検証可能な予測をする。ミツバチの行動は、ウイルスの感染機会を大きくさせるはずだ。この仮説が正しかったとしても、ウイルスによる操作がわかった初めての例ではない。昔から、利己的なウイルスが、宿主にウイルスの感染を拡大させるような行動を引き起こすことが知られている。ハクション。(2004.3.11)
#0067 摂食障害の女性につけこみ荒稼ぎしたカウンセリング料の一部を脱税した54歳男を逮捕 (FNN HEADLINES) カウンセリング団体代表を脱税で逮捕(TBS) テレビのニュースがオンラインでも見れる。FNN HEADLINESは紀藤弁護士のコメント付きで、脱税のみが問題ではないことを伝えている。(2004.3.3)
#0066 摂食障害カウンセラー逮捕 「治療費」隠し1億円脱税 (共同通信) この「自称」カウンセラーの問題の本質は脱税ではないが、それでもまず証拠を集めやすかったのが脱税だったのであろう。記事によれば、「治療費などの名目で得た所得約3億円を隠し、約1億円を脱税した」とある。その値段がそのまま潜在的な被害金額である。それでも、脱税や金額が問題の本質ではないのだ。摂食障害治療をうたう悪徳ビジネスを再びリンクしておく。(2004.3.3)
#0065 摂食障害SOS 効果の明確でない治療法によって不当な利益を上げようとする悪徳業者が残念ながら世間にはある。何科であるかに関わらず、臨床経験のある医師はこのことをよく知っている。現代医学は万能ではない。通常の治療に加え、常識的な範囲内で代替療法を試してみるのは悪いことではないだろう。しかし、何十万、何百万ものお金を要求し、あるいは治療内容を外部に漏らしたら1000万円の違約金を支払う、などという誓約書を書かせたりするところが信用できるだろうか?以前より、問題のある摂食障害に関するビジネスがあった。詳しいことは、摂食障害治療をうたう悪徳ビジネスを参照して欲しい。被害の性質上、被害者は泣き寝入りになってしまいがちであったが、このたび、摂食障害ネットカウンセリング被害者の会が設立された。被害届けの数が少ない場合には警察も動きにくかったという。相談の窓口ができたことにより、今後、事態が改善されることを期待する。また、被害者がこのサイトにたどりつけるよう、検索で上位に表示されることが望ましい。ささやかながら、こうしてリンクを張ることが協力になると思いたい。(2004.2.22)
#0064 放射線診断での被曝でがん発症、日本トップ 英大学研究 (朝日) 「放射線診断による被曝(ひばく)が原因の発がんは [調査対象15カ国のうち] 日本が最高で、年間の全がん発症者の3.2%を占める」とのこと。いくらなんでも3.2%というのは多いだろう、というのが第一印象。しかしながら、 日本で年間X線検査数が最も多いというのは事実だろう。日本で無駄な検査が多い理由の一つは、医療費の自己負担が安いから。とりあえず、頭痛がするというだけの理由で「不安だからCTを撮ってください」ってのは止めよう。患者が求めているのに検査をせずに見落とすことを医師は恐れる。不要と思いつつも検査をせざるを得ない。(2004.2.10)
[付記]安井先生もコメントしておられた。まったくその通り。(2004.2.22)
#0063 悪徳商法マニアックスがGoogleから追い出される 悪徳商法マニアックスのトピックスより。なぜ追い出されたかは、同サイトの1月6日分と1月15日分のトピックスを参照のこと。Googleによれば、「日本の法律に違反していると判断されたページはGoogle.co.jpから削除されることがある。クレームが来たから削除した」とのこと。さて、Googleで検索できなくなったページは、たとえば株式会社ウェディングの情報募集というページ。名誉毀損罪及び営業妨害罪に該当するんだそうだ。きっと、「情報を集められたり、公開されたりすると困る悪徳業者がgoogleにクレームをつけ、googleの担当者が面倒なので深く考えずに削除してしまった」というわけではないのだろう。そうでないと、「悪徳企業はその悪行をインターネットに公開されても、かたっぱしからクレームをつければそれでOK、情報が必要な利用者に情報が行き渡らない」なんて困ったことになってしまう。Googoleがそんなことするわけないよね。京都府警警部補が収賄容疑で、宝石販売会社「ウェディング」社長の中坊進二容疑者らが贈賄の疑いで逮捕された、京都市の宝石販売業「ウェディング」と実質的オーナーの中坊進二元社長を国税局が告発したという記事を紹介したページも法律違反なのだろう。私のこの記述ももしかしたら法律違反なのかもしれないので、クレームをつけたい場合にはnatrom@yahoo.co.jpか掲示板までどうぞ。(2003.1.19)
#0062 進化論教育の研究会 東大情報学環の佐倉統さんから、進化論教育の研究会のお知らせがありました。12月1日(月)に東京大学社会情報研究所(本郷キャンパス)であります。[もう終了しました。たいへん盛り上がったとのことです。]放っておくと、どんどん沈んでいきそうなので、トピックスからもリンクしておきます。詳しい内容は、こちらを参照してください。(2003.11.23)
#0061 筋肉の負荷、カレー皿3枚洗うのは腕立て伏せ5回に相当 (朝日) 記事によれば、「カレーの皿を3枚洗う労力は、腕立て伏せ5回に相当する」という調査結果をライオンと千葉大工学部の勝浦哲夫教授がまとめ、22日に横浜市内で開かれる日本人間工学会で報告する、のだそうだ。台所用洗剤を入れた水に1分間つけおきすると筋肉への負荷は3分の1になる、ともある。いったいなぜ朝日新聞がこの研究を記事にして紹介しようと判断したのかが謎。たまにはこういうほんわかした記事もいいかもしれない。(2003.11.21)
#0060 腰痛止め治療で3人死亡 9カ月の事例を医師分析 (朝日) 記事の趣旨自体には問題はない。問題は、医学的な観点からみておかしな記述がなされていることだ。3人のうちの2人は「注射を受けた後、全身マヒに陥り、呼吸困難などを起こして死亡」とある。全身マヒってなんだ?対応(下肢挙上と気管内挿管)から考えるに、ショックのことだろうが、それにしても「全身マヒ」はないだろう。「敗血症で死んだ患者の例では、通常の埋め込み期間の3日を過ぎても注射器を取り出さなかったためとみられる」ってのも、敗血症が疑われるのに体内異物を取り出さなかったのが問題で、期間を過ぎていたかそうでないかってのは、大きな問題ではないと思われる。記事全体から言えばささいな事ではあるが、この記事から示唆されることは、医学の知識を持っていない記者が記事を書き(まあこれはしょうがないだろう)、医学の知識のある人のチェックを受けずに記事になってしまったということである。特に朝日新聞だけの問題ではなく、他の新聞でもおかしな記事がいくらでも載る。医学に精通した記者を一社に一人確保しておく、あるいは、外部の医者に前もって記事をチェックしてもらう手間を惜しむのはなぜだろう。(2003.11.9)
#0059 理科教育メーリングリストで化学物質過敏症のことが話題に。 その1。 その2。 その3。 その4。 その5。 その6。以下続いているようだが、割愛。いろんなレベルで混乱が見られるが、やっぱり「化学物質過敏症」の定義が不明確なのが一番の問題。「特定の化学物質に接触し続けることによって過敏性を獲得し、以後は超微量の同系統の化学物質に対してさまざまな臨床症状を呈する状態」という定義を私のサイトでは採用しているが、この定義外で使用されることもしばしば見られる。ひどい場合には、臨床環境医自身の論文の中で、明らかに首尾一貫しない意味で使われたりしている。定義が不明確なので、「症状の誘発は本当に化学物質の曝露によるものなのか」という懐疑的な意見が「化学物質に耐性の弱い人のことを無視している」かのように受け取られかねない。とにかく、この問題について「臨床環境医の主張にも一理ある」とお考えの方は、マスコミを通じた断片的な情報だけでなく、一度彼らによる著作を読んでみることをお勧めする。とてもじゃないけど、擁護しうるような代物ではないことが、理科教育メーリングリストの参加者には理解できることと思う。(2003.10.11)
#0058 進化論教育をめぐってテキサス州の科学者や宗教家らが大激論 (WIRED NEWS) 「非営利のシンクタンクである『ディスカバリー協会』は、生物学の教科書の表現を変えて、進化論の論拠が不十分であることを示すよう働きかける運動を指揮している」。かっこいいなあ、ディスカバリー協会。ただし、ディスカバリー協会は、インテリジェント・デザイン説を支持しているそうで、これがすなわち創造論というわけではない。有神論的進化論に近いかな。いずれにしろ、教科書に自説を載せたいのであれば、まずきちんとした学術誌に発表してからにすべき。ダーウィン的な進化論の証拠が不十分であれば、専門家相手にそれを指摘してみせればよい。もちろん、専門家を相手にしてしまうと、自分たちの主張が間違っていることを指摘されてしまうから、科学の素人(出版社とか有権者とか)を相手にするという戦略をとるのであろうが。これは、科学の世界での議論ではなく、政治の世界での議論である。(2003.9.16)
#0057 家電から長持ちマイナスイオン 東芝子会社など開発 (朝日) 経済面の記事ではなく、サイエンス記事として載っている。どの記者が記事を書いたのか、署名が欲しいところ。メーカーの受け売りで記事を書けばいいんだから気楽な職業だよな、と思われてもしょうがないだろう。一応、「マイナスイオンが人体に与える影響のメカニズムは解明されていないため、家電業界でもその効果を疑う声が根強い」とは書いている。効果の有無やメカニズム以前に、そもそも何をもってマイナスイオンとするのかすら定まった定義がないというレベルが現実だ、と私は思っていたが。で、検証試験を行なった富山医科薬科大の田澤賢次教授はどういう人物なのだろう?医学博士 堀口 昇 先生「マイナスイオン医療器開発10周年記念、社会文化功労賞・国際グランプリ受賞 祝賀会」の発起人で、万歳三唱もしている。「マイナスイオン」の効果を検証したいのであれば、こういう人たちに頼もう。それから、近代栄養学の根本的な見直しが必要と主張している。「門脈血をキレイにするとがんの再発が少なくなります。肝臓が丈夫になり、肝臓の免疫力が最高になりますから、がん細胞も受け付ません」なのだそうだ。ふーん。「鉄剤だけを投与して終わる先生というのは根本的な治療をしていないといえます。鉄剤を与えることで貧血が治ると思っています。生命の誕生の際のポルフェリン核について完全に忘れています。人間にポルフェリン核は本来作れません。葉緑素から摂るしかありません」ともある。実際、鉄欠乏性貧血に対して鉄を投与すればみるみる貧血は治るのだけれど。人間にポルフィリン核は作れないってのも初耳。田澤賢次教授の主張が事実であれば、近代栄養学だけではなく、現代医学全体を根本的に見直す必要がありそうだ。 東芝もスゴイ人に検証を頼んだものだ。(2003.7.25)
#0056 SARSは宇宙からやってきた? (WIRED NEWS) 「イギリスのある研究チームが、SARSの原因であるウイルスは宇宙からやってきた可能性があると主張している」。研究チームの一員、チャンドラ・ウィクラマシンゲは、故フレッド・ホイルの同僚だ。ホイルは進化生物学の世界ではそれなりに有名。始祖鳥の化石は捏造だとか、自然淘汰による進化はゴミ捨て場に竜巻が起こってボーイング機が出来るようなものだとか、ダーウィン進化論を批判している。さりとてウィクラマシンゲとホイルは創造論者という訳ではなく、進化は自然淘汰ではなく、宇宙からやってきたウイルスによって起こるのだと主張している模様。彼らの主張は、トンデモというわけではなく、きわめてユニークな仮説の範疇に含まれると、私は考えている。その辺のトンデモ説は、ランセット誌に載るのは難しいだろう。(2003.6.20)
#0055 5分で肝機能を検査できるチップ開発 物材研とローム (朝日) 手軽に肝機能などをチェックできる血液検査用バイオチップの試作に成功したんだそうだ。「将来は小型の検査装置とセットにした家庭向けキットも開発したい」とあるが、いったいどういうときに使うんだろう?糖尿病患者の自己血糖測定と違って、あんまり意味があるように思えないのだ。記事にあるように、「ちょっと飲みすぎ。肝臓は大丈夫かな」というときに使うんだろうか。家庭ではなく、検査を外注している診療所などで使うのが正しい使い方だろう。ちなみに記事にある「(現在の血液検査は)結果が出るまで数日かかる」ってのは、誤り。検査室がある病院では結果が出るのに1時間もかからない。この記事を書いた記者は、受け売りで記事を書く前に、少しは頭で考えてみるべきであった。(2003.6.6)
#0054 【MEDICALホットニュース】糖尿病に漫才が効く!? “笑い”で血糖値が大幅に低下 (朝日) 心と遺伝子研究会の続報。講義後よりも漫才で笑ったあとのほうが血糖値が低いという前半部分の記事は、ツッコミどころ(その1、その2)があるものの、まだよい。問題は後半部分。「この実験から、“笑い”によって多くのよい遺伝子のスイッチがオンになる、という世界で最初の結果が得られた」「つまり、よい遺伝子のスイッチをオンにできれば、私たちの可能性は飛躍的に向上するということです」との、村上和雄先生のコメント。この記事を書いた保健同人社の記者は、こーゆー村上和雄の考えが、分子生物学の知識を持った人からどのように思われているのか、チェックしなかったのだろうか。この記事を載せた朝日新聞社の責任者も同様。感情によって血糖値が変化しうるなんてことは別に新しい発見でもなんでもない。まあ、笑いが血糖値を下げる(あるいは講義というストレスが血糖値を上げる)こと自体は興味深いので記事にして紹介するのはよかろう。だが、「よい遺伝子のスイッチがオン」なんて表現を、無批判にそのまま通すようなことでよいのか。(2003.5.22)
#0053 不審団体:全身白ずくめ、樹木などに白い布 岐阜の林道で活動 (毎日) 岐阜県の林道で「20人を超える全身白ずくめの集団が樹木やガードレールに白い布を巻くなどの不審な行為を続けている」とのこと。電磁波研究を目的に掲げる「パナウェーブ研究所」と名乗る集団らしい。パナウェーブ研究所のウェブサイトによると、「"スカラー電磁波"と呼ばれるものは、ニコラ・テスラの"テスラ波"から旧ソ連時代にマインド・コントロール方法の研究に端を発し、やがてソ連崩壊後、元KGBや科学者などの提供による左翼組織の陰謀として、現在でも一般には知られることの無い犯罪として行われてきました」「"スカラー電磁波"のもつ可能性と危険性を踏まえた上で、この危機的状況を脱しなければUFO(重力を制御する飛行物体)もフリーエネルギーによる明るい未来も到来しないことを認識する必要があります」とのこと。要するに、文字通り電波な団体というわけ。現在パナウェーブ研究所のサイトは重いけど、archive.orgから見ることが出来る。私の一押しはコレ。妨害にめげず、住民の方々に迷惑にならない範囲で頑張って欲しい。(2003.4.29)
#0052 遺伝子工学が人類を滅ぼす?(WIRED NEWS) 「遺伝子工学などの最先端技術が原因で、人類がいくつもの階級に分かれ、互いに殺し合う日が来るかもしれない」と心配している人もいるらしい。私としては「実際の科学界にある困難な課題のため、10年から20年のちの生活は現在とは今とほとんど変わらないはずだ」とするピンカー教授の意見に一票。もっと他に心配するべきことがあるんじゃないか?たとえば、科学技術ではなく、社会的な要因で階級が生じることだってありうる。それにしても、最近のマーグリスってちょと大丈夫なのかって私は思ってマス。(2003.4.20)
#0051 アトムになりたい 「人型ロボット」ぐんぐん進化(朝日) 今日はアトムの誕生日ってことで。「それでも人とカネをかけて開発するのは、将来の事業の柱になる可能性があるからだ」と記事にはあるけど、現実的には厳しい面があるのは容易に想像できる。宇宙開発と同じように、ロボット研究も、採算度外視でやって欲しいと願うのは、科学よりの人間のエゴか。でも、こういう研究ってわくわくするよね。(2003.4.7)
#0050 サラブレッドができるまで (やゆよ記念財団) ダーウィンが「種の起源」において、ハトなどの品種改良を挙げて種が変わりうることを論じたのはよく知られている。むろん、品種改良は人為淘汰によるものであり、自然淘汰による進化の直接の証拠にはなりえないが、一方で、短期間で種がどれほど変わるのか知ることは進化を理解する助けになる。「サラブレッドができるまで」では、地質学的には一瞬に相当するきわめて短い期間で、サラブレッドが祖先種から大きな変化を遂げたことが述べられている。競走馬には自然状態ではありえないほどの強い淘汰圧がかかっているとはいえ、せいぜい数百年で種がこれほど変化しうることを念頭において、地質学的なタイムスケールではいったいどういうことが起きうるのか、想像してみよう。(2003.4.1)
#0049 ヒトの祖先の歩行跡、ホモ属では最古 イタリア南部(朝日) 国立科学博物館の馬場悠男・人類研究部長によると、「スペインで、同年代のネアンデルタール人の祖先の骨が見つかっている。おそらくこの仲間の足跡だろう」とのこと。ネアンデルタール人の足跡だったら厳密には見出しの「ヒトの祖先」ってのは不適切だ、というツッコミは野暮なのだろう。ネアンデルタール人の歩行は現代人とどのくらい異なるのか。あんまり変わらないような気がするが、あんまり変わらないことがわかるだけでも価値はある。(2003.3.13)
#0048 ジャワ原人は「絶滅種」 ヒトのルーツ論争決着へ(朝日) アフリカ単一起源説に有利な証拠の一つ。「ヒトのルーツ論争決着」って、概ね決着はついていたような気もするけど、化石の形態からの証拠はそれはそれで意味があるのだろうか。サイエンスに載るんだからなあ。リンク先の朝日新聞のオンライン版は無かったが、配達された紙面にはなんだか突っ込みどころの多そうな単一起源説の図がついていた。ジャワ原人や北京原人やネアンデルタール人が同時期に分岐して同時期に絶滅したように見えてしまってちょと萎え。(2003.2.28)
#0047 「TOSSランド」(教育技術法則化運動)へのコメント (水商売ウォッチング) 水関係の科学的に怪しい説明にツッコミを入れるサイトによる、教育技術法則化運動(TOSS=Teacher's Organization of Skill Sharing)のサイトに対するコメント。TOSSのサイトでは「水からの伝言」(江本勝著,波動教育社)を題材にした教育方法を紹介しているという。この本の内容に科学的にきわめて問題があることは、専門知識などなくてもわかるだろうと、私には思われる。ありていに言えば、かなり低級のオカルト本だ。たくさんいる教師の中には、こういう本を信じちゃう人もいるかもしれない。しかし、複数の教師がオカルト本を信じ、授業で教え、審査が必要なはずのサイトに掲載されてしまうというのはどういうことだろう。どこかで、「こりゃオカルトだよ」って気付く人は一人もいなかったの?日本の教育は大丈夫なの?(2003.2.8)
#0046 クローン人間、日本人の間に男児誕生 クローンエイド社発表 (毎日) 記事の伝えるところによると、1年半前に事故死した2歳男児の細胞を使ったクローンが日本人カップルの間に生まれたことを、クローンエイド社は明らかにしたという。日本人カップルは、費用として20万ドル(約2400万円)を支払ったそうだ。鉄腕アトムの誕生年は、今年、2003年だ。天馬博士によって、交通事故で亡くなった息子に似せてアトムは作られた。天馬博士は、成長しないアトムは息子の代わりにならないことに腹を立て、アトムをサーカスに売り飛ばした。亡くなった息子のクローンといっても、一卵性双生児以上に似ていることは期待できない。そのことを、かの日本人カップルが理解していればよいが。(2003.1.23)
#0045 「クローン女児誕生、イブと命名」 スイスの新興宗教 (朝日) 例のイタリア人医師がぐずぐずしていたら、ラエリアンに先を越されてしまった。母親と女児のDNA検査は第三者にさせるつもりらしい(The Globe and Mailの記事より)。きちんとした検証がなされて欲しい。渡されたDNAサンプルをただ検査するのではなく(同一人物のDNAサンプルを二つ渡されるかもしれないぞ。今回は、ミトコンドリアDNAも同一だ)、サンプル採取のところから確認すること。それにしても、ラエリアン側は羊水検査とか全然やっていないのだろうか?(2002.12.28)
#0044 石原知事の「ババア発言」 女性119人が謝罪求め提訴 (朝日) 石原知事は、学者の言葉を引用しながら「『文明がもたらした最もあしき有害なものはババア』なんだそうだ。『女性が生殖能力を失っても生きているってのは無駄で罪です』って」と述べた、のだそうです。うわあ。純粋に生物学的に言っても、女性が生殖能力を失って生きているのは無駄とは言えない。おそらく、ヒトにおける閉経後の長寿には適応的な意義がある。しかし真に問題とすべきは、生物学的に無駄であろうとなかろうと、現代社会において生殖能力を失った女性の存在が無駄で罪であるかどうかとは関係がないという点である。自然主義的誤謬に陥ってはならない。石原知事は、障害者や不妊症の人の存在も「本質的に余剰なもの」「存在の使命を失ったもの」と考えているのだろうか。(2002.12.21)
#0043 「笑いは体にいい」実証に挑戦 漫才笑わせ遺伝子検査 (朝日) 遺伝子検査ってあるけど、当然遺伝子型を調べるのではなく、発現量を調べるんだよね?村上和雄かあ。感動、喜び、感謝の心がよい遺伝子をオンにするとか言っちゃってますけど。漫才で発現量が増える遺伝子がよい遺伝子なのだろうか。ぜひ、詳しい情報が知りたい研究である。「心と遺伝子研究会」の今後に要注目だ!(2002.12.17)
#0042 ■■コラム■■ 難病患者とネット情報 (毎日) インターネットの普及で、医学の最先端情報を患者が知ることができるようになったという話。「情報だけが先走る結果、それがどの程度治療面で実現性があるのか、学会でどんな評価を受けたのか、といった洗礼をほとんど受けないまま、流れることも多い」という問題提起に、もうちっと突っ込んだ考察をして欲しいところ。難病患者に限らない話でもある。あまり突っ込むと、逆に「じゃあ新聞記者はどうなんだ、ちゃんと情報の質を検討してんのか」と突っ込まれるからだろう、というのは邪推か。どこまで本当?健康情報、どう解釈にあるような話までして欲しかった。(2002.12.3)
#0041 「クローン赤ちゃん1月に誕生」? イタリア人医師が発表 (CNN) うさんくさいクローン妊娠の続報。「同医師が4月の会見で妊娠を発表した3人は、遅くても今年11月に出産期を迎えたはずで、医師はこの矛盾点について説明しなかった」のだそうだ。6月の発表を正しいとしても、現時点では妊娠33週ではなく、38週のはず。やっぱ、クローン胚の胎内の成長は普通より遅いのか。クローンかどうかの証明は、DNAを調べれば比較的容易にできるが、患者のプライバシーがどうだとか言って、検査させないであろう。(2002.11.27)
#0040 「ウツクシマツ」の形は劣性遺伝 甲西町だけに自生、アカマツの一種(京都新聞) 「滋賀県甲西町だけに自生するアカマツの一種で、根もとから多くの幹がほうき状に分かれて伸びる『ウツクシマツ』の特異な形は、幹の1本だけが高く伸びる普通のアカマツの形に対して、劣性遺伝しているとの研究結果を同県森林センターが19日、発表した。 」とのこと。メンデル遺伝するってことは、ウツクシマツの「特異な形」は一つの遺伝子によって決まるということ。するというと、ウツクシマツはアカマツの一種というより、アカマツそのもののような気もするけど、植物の分類はよくわからない。「松のような大型の樹木で、メンデルの法則がきれいに成立する劣性遺伝が確かめられた例は、世界的にも少ないという。 」その理由の一つは、樹木は世代交代が遅いこともあるのだろう。掲示板で指摘されていたように、地道な研究が報われたということか。(2002.11.21)
#0039 心筋梗塞の発症率が2倍になる遺伝子発見 理研など(朝日) 原著(朝日の記事にはネイチャーメディシンとあるが、ネイチャージェネティクスの間違い)によれば、ゲノムワイドな相関解析によって、lymphotoxin-α(LTA)の遺伝子内に、心筋梗塞と相関する機能的なSNPs(一塩基多型)を見つけたとのこと。相関解析をゲノムワイドにやろうと思ったら、多くのマーカーが必要になるので大変。今回は約9万3千個のSNPsを使った。多くのマーカーを使うと、多くのタイプ1エラーが生じるので、それを回避するためには多くのサンプルが必要。今回は患者1133人、対照1006人を使用した。機能も見ているし、多分大丈夫なようには思われるが、それでもタイプ1エラーの可能性を否定できないのが、この手の研究のやっかいなとこ。結果を信用するならば、疾患に寄与するアリル(対立遺伝子)をホモで持つ人は、持たない人と比較して心筋梗塞になる確率は約1.8倍である。喫煙などの他のリスクファクターと比較すれば小さいが、単一の遺伝子の寄与なんてそんなものだ。毎日新聞の記事では、「心筋梗塞患者では、血管の炎症などにかかわっているLTAという遺伝子の塩基配列が通常とは一カ所違っている人が19%いた。ところが、ボランティアでは12%しかいなかった」としているが、いかにも通常でない塩基配列が疾患に寄与しているかのような印象を与えるので不適切である。ボランティア(対照)集団において、疾患に寄与するアリルをヘテロで持つ人は51%、ホモで持つ人は12%、アリル頻度は37%。ごく普通にみられるアリルであり、けして通常と違っているわけではない。心筋梗塞のようなありふれた疾患(common disease)では、普通にみられるアリルが疾患に寄与すると考えられている。(2002.11.12)
#0038 月着陸“疑惑”にNASA反論、ますます怪しまれる?(読売) 「月着陸はなかった、捏造だ」とするトンデモ説に対する反論本をNASAが準備しているんだそうだ。NASAもたいへんだな。「関係者からは『本気で反論するとますます怪しまれる』との声も」あるそうだ。常識的な考えだ、ごもっとも。反論本を出版したら、トンデモさんたちは「我々が真実を述べているからこそNASAはむきになって反論するのだ」とか言うだろう。 でもね、相手にしなかったら、「我々が真実を述べているからこそNASAは反論できないのだ」とか言うに決まっている。公式な反論をしておくのは無駄ではなかろう。NASAの反論本を待てない人は、人類は月に行っていない!?を参照のこと。(2002.11.6)
#0037 子どもの花粉症発症、親世代の2倍に 日本医大調査(朝日) アレルギー性疾患の頻度が増えているというのは事実。いまさらこんな調査結果を新聞記事に載せる価値があるのだろうか。記事になるならないの基準がいまだによくわからない。調査をまとめた大久保公裕・助教授の談話「花粉の飛ぶ量が増えたことや気密型の住居の増加などが低年齢化の原因と考えられる。こうした状況が続けば次の世代に倍々ゲームで増えていく可能性がある」。倍々ゲームでは増えていかないと思うぞ。(2002.11.2)
#0036 遺伝情報の個人差を解析へ 日本など5カ国共同で(朝日) 毎日新聞の記事。読売新聞の記事。今度はハプロタイプを解析するんだそうだ。一般紙でハプロタイプなんて言葉を目にするとは思わなかった。「ハプロタイプは、全遺伝情報(ヒトゲノム)のうち個人差のある部分(一塩基多型)の固まりのこと」という説明でまあ正しい。病気の人と健康な人で遺伝情報に差があるかどうかを調べたりするんだけど、一塩基多型だけを見ると差が出ないのに、ハプロタイプで見ると差が出るってことはよくある。公的なデータベースは必要だろう。また、それぞれの地域集団がどれくらい差があるのか興味があるところだ。(2002.10.31)
#0035 「涙なしタマネギ」できるかも ハウス食品の研究(CNN) 毎日新聞の記事。読売新聞の記事。同じ話題を扱っていても切り口が違っていて興味深い。CNNの記事が、とりとめがないが一番面白かった。内容は読売が一番的確であるように思われる。ハウス食品の今井さんの談話が、CNNでは「『涙なしタマネギ』の味も普通のタマネギと変わらないのでは」、毎日・読売では「食味が向上するはず」「おいしい品種になるかも」となっているのはなぜだろう。食べてみないとわからないってこと?ちなみにハウス食品の株価は「小動き、タマネギに絡む材料の反応はいま一つ」だそうだ。(2002.10.18)
#0034 あなたの遺伝情報をCD―ROMに 6千万円でいかが?(CNN)米セレラ・ジェノミクス社の元社長が、「希望者自身の全遺伝情報をCD―ROMに焼き付けるサービスを始める予定」なんだそうだ。そんな情報を個人がもらってどうするつもりなんだろう。6千万円は高い。12万円でもまだ高いぐらいだ。病気の治療や予防になるとかいっても、どうせほとんどの遺伝的多型の意味なんてわかっちゃいないんだから、既に意味がわかっている少数の遺伝子のみ調べた方がずっと合理的だ。全遺伝情報なんて調べる意味なし。「数人の希望者」がいるそうだが、金持ちの道楽ですな。(2002.10.7)
#0033 「やせの大食い」解明 体の脂肪を燃やすたんぱく質発見(朝日)「やせの大食い」解明という見出しは適切だとは言えないだろうが(←ヒトで調べたんかい!ってツッコミ可能)、まあこのくらいは許容範囲か。ネズミの系において「ERRL1」という蛋白質が脂肪の燃焼を促進しているのではないか、という話。軽度の運動が基礎代謝を上げるという話は確からしいので、何かその辺に関係する蛋白質があってもおかしくはない。ERRL1をmedlineで検索したけど出てこないところを見ると、新しい蛋白質なのだろうか。肥満に関係する研究は、注目されるし、実用化の可能性が高いので、ちょっぴりうらやましい。ま、しかし、「運動をせずにその効果が得られる肥満防止薬」の実用化は夢ではないにしろ、乗り越えるべき壁も多いだろう。(2002.10.3)
#0032 <ペット効果>乳児期に複数飼うとアレルギーが減少 米研究所(毎日)気管支喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患の頻度が増えているというのは事実。その理由として、農薬などの「化学物質」汚染がやり玉に挙げられることが多いが、「清潔さ」のほうがより大きく寄与しているかもしれない。東西ドイツを比較した研究があるが、「化学物質」汚染が多いとは言えない西ドイツのほうがアレルギー性疾患の発症率が高かった。他にも、大家系や集団保育、麻疹の既往がリスクを下げるという研究もあるし、どの程度信頼できるかは判断を控えるが寄生虫が関係するという説もある。今回の記事にも「ペットにより運ばれた細菌が死ぬ時に放出される毒素エンドトキシンが、アレルギーに関連する免疫細胞「Th2」の増殖を抑えるため」とある。ヒトは不潔な環境下で進化してきた。不自然に清潔な環境で育つことが免疫系の異常をもたらしても不思議ではない。むやみと「化学物質」を恐れるのであれば、「不自然な清潔さ」も同時に恐れるべきではなかろうか。(2002.8.28)
#0031 ミトコンドリア父親からも遺伝、イブ仮説の前提崩れる (読売)ミトコンドリアの遺伝に父親からの影響があるという話は以前からある。見出しの「イブ仮説の前提崩れる」、記事にある「今後、大きな論議を呼びそうだ」とは、何を根拠にしてのものだろうか。原著(10$払わないとまだ見れない)にあたらないと断言できないが、読者の興味を引くためのオーバーな表現のように思える。ミトコンドリアがたまに父親から遺伝するとしても、稀なものであったらイブ仮説には影響は与えないこともありうるし、仮に影響するとしても、イブ(母系由来の共通祖先)の推定年代がやや古くなるだけではないだろうか。アフリカ起源が覆ったり、多地域進化説に有利になるほど母系由来の共通祖先の推定年代が古くなったりすることはないだろうと思うが、どうなのだろう?(2002.8.23)
#0030 クラシックでトキに「卵教」 全て有精卵 (朝日)「ふ卵器の近くでベートーベンやビバルディーなどのクラシック音楽を流しているほか、マイナスイオン発生器を置き、卵の順調な生育を手助けしている。(強調は引用者による)」 クラシック音楽やマイナスイオンが孵化によい影響を与えるのであれば、実験によって検証できるであろう。別にトキでなくてもニワトリを使えばよい。検証済みなのであろうか?それとも、効果があるという検証もされていないのに、なんとなく使用されているのだろうか?佐渡トキ保護センターといった施設には、科学的な判断が求められると私は考える。(2002.8.22)
#0029 人間だけが言語を持つ理由はこの遺伝子に由来か 独研究 (CNN)FOXP2と呼ばれる遺伝子は、「ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、ハツカネズミ」と比較してヒトにのみ変異を持ち、言語の習得が難しい家系にFOXP2の異常が知られている、とCNNの記事にある。原著によれば、FOXP2蛋白はゴリラ、チンパンジー、マカクにおいて同一で、マウス/チンパンジー間で1アミノ酸、ヒト/チンパンジー間では2アミノ酸だけ異なる。哺乳類で比較的よく保存されているFOXP2蛋白が、ヒトの進化の系列においてわずか約500万年に2つのアミノ酸置換が起きていることは、ヒトの進化の過程でFOXP2遺伝子が正の自然選択を受けたことを示唆する。蛋白の構造予測でも、マウス/チンパンジー間の変異は本質的に同一である一方、ヒトのアミノ酸の変異の少なくとも一つは機能的な変化を伴うかもしれない、との事。もちろんFOXP2以外にも複数の遺伝子が言語の獲得に関与したであろうが、こうした自然選択を示唆する証拠は興味深い。(2002.8.17)
#0028 「おいしい肉を」 ヒツジ遺伝子解析計画、豪で始まる (CNN)仕事柄、こういう記事に興味を惹かれる。肉の味にも遺伝要因の寄与があると考えられる。というか、これまで古典的な交配によって肉の味の改良は行なわれてきた。肉の味を見るために殺しちゃったら、もうその個体は子孫を残せないので、味のよい肉を持った個体の同胞(兄弟姉妹)を選別することによって改良する。現代では、クローンを作るなり、遺伝子解析するなりで、もっと効率的に改良できるだろう。(2002.8.7)
#0027 毎日新聞のゲーム脳の記事に関連して、風野春樹の読冊日記の7月25日、7月26日。 単行本出版の直前に毎日新聞に記事が掲載されたわけだ。出版社はNHK出版。そういや、NHKスペシャル「奇跡の詩人」も新潮社の関連本の出版直前に放送された。メディアミックスという奴か。今後は「ゲーム脳」という言葉は、「波動」「マイナスイオン」の仲間入りだ。当サイトのツリー式掲示板の関連スレッド。 (2002.7.31)
#0026 体質左右する遺伝子を情報公開 経産省と文科省 (朝日)タイトル見てびっくり。何のことかと思えば、単にSNPs(一塩基多型)のデータベースを公開しただけ。記事内容は問題ないが見出しが不適切だ。時事通信では遺伝子の個人差データを公開=がんなどの解明に期待−文科・経産省となっており、こちらのほうがより正確な表現。多型(遺伝情報の個人差)のすべてが体質に関係するわけでなく、むしろ、表現型にほとんど影響しないものが多数を占めるであろう。多数の多型のうち、いったいどれが体質を左右しているのかを調べるのがたいへんなのだ。今回情報公開されたのは、どこに多型があるかというところまでで、今後はその情報を利用してそのどの多型が体質を左右するかを研究できるということ。体質を左右する遺伝子の情報が公開されたわけではない。しかし、ずいぶん前からJSNPは公開されていたのに、なんでいまごろニュースになってんだろ。(2002.7.18)
#0025 医師も戸惑う健康情報 奇跡の詩人疑惑 (日経MedWave) 健康情報の読み方の小内亨によるコラム。微妙な問題を含むのでトンデモ本を笑うのと同じようにはいかないが、批判は必要だろう。滝本太郎弁護士は、早くから奇跡の詩人疑惑に対して、的確な批判を行なっている。批判本も出た。すべての人とは言わないが、多くの人が例のNHKスペシャルのような番組を見たときに、考えることを止めるのではなく、懐疑的に受け止められるようになって欲しい。当サイトのツリー式掲示板の関連スレッド(2002.7.18)
#0024 今週の本棚 英米法律情報辞典 (毎日)法律情報辞典といいつつ現代英米文化全体を扱う事典らしい。creationismの項。「米国成人のうち進化論を信じる者は半数以下で、50%以上の人が天地創造説を公立学校で教えるべきだと思っている」「英国のキリスト教聖職者のうち天地創造説を事実と思っているのは3%だけ」「ローマ教皇は96年、進化論を肯定した」。なるほど、法律情報とは言い難い。(2002.7.17)
#0023 ゲーム:毎日2時間以上は大脳活動に影響 日大教授が発表 (毎日)記事だけではこの研究の評価はできないし、長時間のゲームプレイが脳に良くないというのはきわめてありそうなことだけど、「ゲーム脳」とか言われると、なんだかうさんくさく感じるのはなぜなのだろう。ゲームは一日一時間。(2002.7.10)
#0022 食の安全判断できる人材を 実践女子大教授(食品衛生学)・西島基弘 (朝日)「化学物質」の害を過大評価するのは、過小評価するのと同じ位危険である。「買ってはいけない」に代表される「化学物質」の害を過大評価する疑似科学的な風潮が、不必要な食品の大量回収を招いた。 無認可添加物の使用食品 国も企業も柔軟に対応を (毎日)も参考にせよ。 (2002.7.1)
#0021 どうする遺伝情報と保険/リスク判断の材料に 利用の可否、論議必要 (朝日) 「遺伝子によって保険料に差をつけるなんてけしからん。遺伝子差別だ。保険会社による遺伝子情報の利用を禁止しろ」という単純な話ではすまないことをまず理解しておくべき。 (2002.6.25)
#0020 琵琶湖で外来魚のリリース禁止 滋賀県が条例化へ (朝日) どれくらい効果があるのかわからないけど、やらないよりはマシだろう。いっそのこと商品価値をつけるというのはどうだろう。「生命力の強いブラックバスやギルを食べると体にいい」とか、みのもんたがテレビで宣伝すれば、みんな食べるようになるかも。(2002.6.18)
#0019 クローン妊娠 「14週入り経過良好」と伊医師 (朝日) 2ヶ月前の報道では8週のはずだったが、現在は14週。クローン胚の胎内の成長は普通より遅いらしい。どうも怪しげ。実は自然妊娠だったとかいうオチがつくかも。その場合「出産は無事すんだ。奇形等はなく成功だ」と言いつつ、詳しい情報は明らかにしないであろう。要観察。(2002.6.10)
#0018 「アトピー治す」歯科院長を逮捕 無資格治療の疑い (朝日) 噛み合わせなどの歯科領域の異常が原因で、頭痛や肩こりのみならず、アトピー性皮膚炎や癌が起こるとの主張はよく見るが、十分な科学的根拠はない。無資格治療以外にも、「純粋な現代医学の最先端を行く治療」という宣伝は虚偽であり問題とされるべきである。(ちなみにこのリンク先を読めば、体験談が証拠にならないことがよく理解できるであろう)。インターネット上には疑惑のある医療情報がたくさんあり、その利用には慎重でなければならない。(例えば、摂食障害治療をうたう悪徳ビジネスというサイトは参考になる)(2002.6.6)
#0017 相対性理論に破れはあるか? 宇宙ステーションで検証へ(CNN) アインシュタインの相対性理論は、進化論と並んで、トンデモさんに攻撃されやすい現代科学の一つである。例えば、ヤフー掲示板では相対論は間違っている?というスレッドは人気で、すでに10000メッセージを超える。トンデモさんは、断片的な記事が自説を擁護していると勘違いするのが得意なので、相ま系(相対性理論はマチガッテイル系)の人がこの記事に飛びつくのは想像に難くない。しかし、仮にこの実験で相対性理論の「破れ」が見つかったとしても、相ま系の人達の主張が正しかったことにはならず、相対性理論を内包した包括的な新しい理論の存在が示唆されるだけである。(2002.6.5)
#0016 進化論「定説」揺るがす 追悼・グールド教授 (朝日) 渡辺政隆による追悼文。(2002.5.30)
#0015 お茶の水面下がるワケ “伏兵”が最大要因 コラム反響で証明実験 (朝日) 「なみなみとつがれたお茶の水面が、10分もすると下がるのはなぜ?」リンク先に飛ぶ前に自分で考えてみよう。私はこういう記事が好きだ。みんなも好きだよね?(2002.5.24)
#0014 「ワンダフル・ライフ」の生物学者グールド氏が死去 (CNN) グールドは、1980年代のアメリカ合衆国での公立学校に創造論を持ち込もうとする運動に反対する中心人物でもあった。死因はがんとの事。克服したはずの悪性中皮腫の再発だろうか?(2002.5.21)
#0013 夫が負けた時、地位高いほど妻浮気 鳥の行動ですが… (朝日新聞) 「離婚率が高い米国やカナダの新聞は、研究を人間夫婦に見立てている。」 自然主義的誤謬の例になりかねないが、これぐらいなら、まあ冗談で済む話だろうか。本気にする奴もいるかもしれないけど。私が知りたかったのは、このようなメスの行動がどのような適応的意義を持つのかという考察だが、この記事にはない。普通の人はこんなことには興味を持たないのか。(2002.5.9)
#0012 6割が「霊能力信じる」 米国人の科学観調査 (CNN) まあこんなものでしょう。科学の進歩と、一般人の科学の理解は無関係、いやむしろ、逆の相関があるのかも。6割に入る人ははじめからセーガンの本なんて読まないんだろうなあ。「『最初の人類は恐竜と同じ時代に現われた』との正誤問題で、『誤り』と答えた正解者は48%だった。」 日本で同じような調査があったけれども、日本人の正答率は40%。創造科学の国に負けてる・・・。(2002.5.7)
#0011 英が50万人分の遺伝子バンク (読売新聞) 「45歳から69歳の英国民からボランティアを募り、遺伝子サンプルの提供を受けるとともに、生活習慣や病歴なども調べる」。実際、このくらいやらないと、病気の遺伝子なんてとれないのかも。病気の遺伝子の同定を試みるには、患者さんの遺伝子サンプルを集める時点で困難が伴う。ただでさえ忙しい外来の時間を割いて、患者さんにきちんとインフォームドコンセントを取りサンプルを集めるのはたいへん。病院業務と切り離してサンプルを集めるのはよい考えだと思う。(2002.5.1)
#0010 「進化」を教科書から消すな (朝日新聞)(URL:http://www.asahi.com/science/column/chokugen/020417a.html) 長谷川眞理子。「進化を抜きにすると、生物学は、生物の部分の名称や細かいプロセスの羅列にすぎなくなってしまう。進化は、生物界の歴史性と整合性を包括的にとらえられる唯一の理論なのだ」。広大な範囲にまたがる生物学をすべて教科書に載せることは不可能だから取捨選択は必要だが、きちんと考えた上で進化が不要であると判断したのだろうか。(2002.4.25)
#0009 モノニクス類は鳥に近い恐竜か=モンゴルで発見の化石に「長い尾」−岡山の博物館 (時事通信社)(URL:http://www.excite.co.jp/News/searched_story/?nd=20020423191900&nc=X364) これまでは「飛ばなくなった鳥」説や「恐竜の一種」という説があったが、今回の発見は恐竜説に有利な証拠のようだ。ま、鳥だって「恐竜の一種」と言えるんだけど。こゆことで科学者が論争になることを(特に人類化石ではよく論争になる)を進化に不利な証拠であるかのように言う創造論者もいるが、進化が起こったからこそボーダーライン上の生物が存在するのだ。カミサマが恐竜と鳥とを個別に造ったのであれば、あたたかも進化が起こったように見せかけて創造したとでも考えない限り、鳥と恐竜のボーダーライン上の化石なんてありそうにない。(2002.4.24)
#0008 DNAにあわせた食事で長生きしよう(WIRED NEWS)(URL:http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20020315305.html) タイトルだけだとなんかアヤシゲな健康食品の話に聞こえるが、内容はまとも。各人の遺伝学的な違いを考慮した栄養学を目指しましょうという話。「あと5年もすれば、あんなこともこんなこともできる」という科学者の話は多少割り引いて受け取るほうが無難だが、珍しい病気の遺伝子を探すよりは役に立ちそう。(2002.4.20)
#0007 新種「目」 未知の昆虫確認 『マントファスマ』命名(URL:http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20020418/eve_____sya_____001.shtml) 調べた限りでは東京新聞がもっとも詳しい記事。奇妙な新種発見とか言ってた新聞社もあるが、「奇妙な」という言葉はあまり適切ではなかろう。「発見」というのもちょっと違う。まあいいか。昆虫の新しい「目」の確認は、1914年に「ガロアムシ目」が確認されて以来88年ぶりなんだそうな。私はガロアムシのほうが気になった。数学者のガロアと関係があるのか?関係ないそうです。(2002.4.18)
#0006 遺伝子:進化の秘密、脳での違いが顕著 人とチンパンジー比較 (URL:http://www.mainichi.co.jp/news/selection/archive/200204/12/20020412k0000m030176000c.html) 人とチンパンジーで遺伝子の発現量を比較すると、脳での違いが他の臓器に比べて数倍大きいそうだ。ヒトとチンパンジーだけでなく、オランウータンやアカゲザルも対照として使っているところがミソだと思う。まあ、多臓器と比較して脳での違いが大きいという結果は予想通りだろうが、「脳で作られているたんぱく質の種類の違いに比べて、量の違いの方が大きい」というのはちょっと意外。(2002.4.13)
#0005 不透明さ残った高校教科書検定 指導要領の趣旨 解釈ですれ違い (URL:http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20020410/mng_____kakushin000.shtml) 進化は上級用の「生物II」で扱うべき内容なので、「進化の文字があれば、魔女狩りみたいに不必要とか不適切と意見をつけられた」そうだ。進化を考慮せずに、どんな生物学を教えるというのだろう?生物学に限らず、日本の理科教育には不安を覚える。EVOLVE MLにおける高校での進化論教育論議も参考に(2002.4.10)
#0004 <クローン人間>妊娠に成功 イタリア人医師が不妊治療 (URL:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020406-00000172-mai-soci) 純粋な科学的見地から言えば大きなニュースではないが、倫理的、社会的には大きな意味を持つだろう。しかし、ホントにクローン技術による妊娠に成功したかどうか疑問だ。核移植胚には流産や奇形の危険を伴う。私がかのイタリア人医師であれば、安定期に入り大きな奇形がないことを確認して、あるいは出産まで無事に成功してからでないと発表しないだろう。注目を集めたい動機があるのだろうか。(2002.4.6)
#0003 九大 オウム元幹部 入学取り消し 医学部教授会「反社会的」理由に(URL:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020330-00000039-nnp-kyu) 公立大学において、教授会の判断だけで、入学を取り消すことは妥当なのだろうか?誰であれ、教授会に「この人物は反社会的だ」と判断されれば、入学を取り消されることがありえるってこと?微妙な問題であるはずなのに、「入学許可取り消しを全員一致で決定」って、反対する教授は一人もいなかったのだろうか。(2002.4.2)
#0002 “村上春樹”と出あって開花した異色の進化論 佐倉統さん(41)東大助教授(URL:http://www.asahi.com/culture/bunka/K2002032601504.html) 私がはじめて人工生命(AL)のことを知ったのは佐倉統の本からだった。以降、佐倉統の本は必ずチェックしている。進化論を中心にわかりやすい説明がなされている。新刊の「進化論という考え方」はさっそく買った。まだ読んでいないが。(2002.3.28)
#0001 人類進化に新説:現代人はネアンデルタール人との混血?(URL:http://www.hotwired.co.jp/news/print/20020312306.html) ネアンデルタール人のミトコンドリアやY染色体のDNAは現代人には受け継がれていないようだ。しかし、常染色体のDNAから混血を示唆する証拠が得られた。「アフリカ起源説」と「多地域進化説」の中間に真実があるのかもしれない。(2002.3.28)