ABO式血液型と性格の関連を示す医学論文


ABO式血液型の遺伝子座とDBH遺伝子座は同じ場所にあるとは言えず、また連鎖不平衡に関する情報が不足しているがゆえに、DBH遺伝子と関連させて「血液型と性格の関係があっても不思議ではない」とするのは不適当である。血小板MAO活性低下とO型血液型の相関の報告は信頼できない。A型に関してABO FANが提示している元論文は、血液型とは無関係である。B型・AB型に関してABO FANが提示している元論文は、ダダモ氏の引用部分とは異なる論文であるし、B抗原そのものではなくB関連抗原に関するものに過ぎず血液型と性格の関連を示す根拠にはならない。ダダモ氏の引用部分から推測したB抗原と一酸化窒素に対する反応性の相関についてのランセット誌の元論文は、再現性のない信頼性の薄いものであるし、仮に真であったとしても血液型と性格の関連を示す根拠にならない。ABO FANで紹介されている元論文は、みな血液型と性格の関連を示すのには不十分であり、このような不十分な文献しか提示できないこと自体が血液型と性格に関連がないか、関連があっても小さいものであることを示唆している。不十分な論文の提示によって飛躍した結論を導く疑似科学の手法に注意すべきだ。
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ABO FANにおいて、実に画期的な本「血液型と性格」論争は決着したも同然、と紹介されている本があります。ダダモ氏(Peter J. D'Adamo)の書いたLive Right for Your Typeです。ABO FANでは、ダダモ氏の本を引用し、その元論文について言及しています。それぞれ検討してみましょう。

ABO式血液型の遺伝子とドーパミンに関係する遺伝子は同じ場所にある?

Type O's difficultly eliminating the catecholamines, noradrenaline and adrenaline in conditions of stress has direct implications of mental disorders. Current research suggests that the problem is related to the activity of an enzyme called dopamine beta hydoroxylase (DBH), which converts dopamine to noradrenaline. Remarkably, the gene for DBH is located at 9q34. It's literally sitting on top of the gene for blood type....

O型は、ストレスを受けているときに、カテコールアミン、ノルアドレナリン、そしてアドレナリンを取り除くことが困難なので、精神障害に密接な関係があります。現在の研究は、問題が、ドーパミンからノルアドレナリンを変換するドーパミンベータハイドキシラーゼ(DBH)と呼ばれる酵素の活動と関連することを示唆しています。DBHの遺伝子は、明らかに遺伝子座9q34に存在しています。それは文字どおり[ABO]血液型の遺伝子座の最初にあります…。

 解説は不要でしょう。つまり、ABO式血液型を決定する遺伝子と同じ場所に「ドーパミンベータハイドキシラーゼ」(DBH)というストレス(性格?)に関係する遺伝子があるのです。つまり、血液型と性格の関係があっても不思議ではないことになります。なお、元の論文はこちらです。

Cytogenet Cell Genet 1988;48(1):48-50
Localization of the human dopamine beta hydroxylase (DBH) gene to chromosome 9q34.
Craig SP, Buckle VJ, Lamouroux A, Mallet J, Craig IW

(ABO FAN, http://www2.justnet.ne.jp/~shozo_owada/dadamo.htm)

「ドーパミンに関する酵素(DBH, Dopamine Beta Hydroxylase)が9q34(9番染色体の長腕の3番目の大きなバンドの中の4番目の小さなバンド)に乗っている」という話ですね。このこと自体は本当です。解説は不要でしょうとありますが、ぜひとも解説が欲しいところです。なぜなら、これだけでは、血液型と性格の関係があっても不思議ではないとは言い難いように私には思えるからです。「血液型と性格の関係があっても不思議ではない」と言うためには、少なくとも以下の三つの情報が必要です。

1. DBH遺伝子座に多型があるかどうか
2. DBH遺伝子座の多型が性格と関係するかどうか
3. DBH遺伝子座の多型とABO式血液型の多型が、連鎖不平衡の関係にあるかどうか

ABO FANでは、この3つの情報のいずれも提示されていません。まあ上記1. 2.はいいとして、問題は、3.です。連鎖不平衡とは、複数の遺伝子座において、ある特定の対立遺伝子が、それぞれの対立遺伝子頻度から予測されるよりも有意に高い頻度で伴って認められることを言います。連鎖があっても連鎖不平衡があるとは限りません。なんだか難しいですね。具体例を挙げて説明しましょう。

仮に上記1.2.を認め、DBH遺伝子座に多型があり、しかもその多型が性格に関係していると仮定しましょう。DBH遺伝子座に多型があり、それぞれDBH_1、DBH_2という対立遺伝子が2つあり、それぞれの遺伝子頻度が50%と50%だったとします。DBHはドーパミンをノルアドレナリンに変換する重要な酵素です。この酵素活性がDBH_1とDBH_2で少し異なり、DBH_1をホモで持っている人は、ちょっと攻撃的な性格になる傾向があるとします。DBH_1をホモで持っている人は、集団の中で0.5×0.5=25%の割合でいます。

さて、ABO式血液型は3つの対立遺伝子、AとBとOによって決まります。説明を簡単にするため対立遺伝子Oの頻度が50%だったとしましょう。この場合、O型血液型の人、すなわち遺伝子型OOの人の割合は0.5×0.5=25%です。もし、対立遺伝子Oと対立遺伝子DBH_1が連鎖不平衡の関係になかったとしたら、DBH_1ホモの人の中でO型の人は25%、O型の人の中でDBH_1ホモは25%であり、例えば4000人の集団では、DBH_1ホモかつO型血液型の人は250人いると予測できます(4000×0.25×0.25=250)。
表1 【連鎖不平衡がない場合】

O型血液型 非O型血液型 合計
DBH_1ホモ 250人 750人 1000人
非DBH_1ホモ 750人 2250人 3000人
合計 1000人 3000人 4000人

ところが、仮に、4000人の集団を観察してみたところDBH_1ホモかつO型の人が1000人だったとします。これは、DBH_1ホモの人は必ずO型であり、O型の人は必ずDBH_1ホモであるわけです。これは、ある特定の対立遺伝子が、それぞれの対立遺伝子頻度から予測されるよりも有意に高い頻度で伴って認められていますので、連鎖不平衡があると言えます。それも、非常に強い、いわば100%の連鎖不平衡です。この集団で血液型と性格の相関解析を行なえば、O型の人に攻撃性が強いという結果が出るでしょう。ABO血液型が、全然中枢神経系と無関係であったとしてもです。この点を見落とした血液型性格診断否定論もありますが、不適切です。
表2 【強い連鎖不平衡がある場合】

O型血液型 非O型血液型 合計
DBH_1ホモ 1000人 0人 1000人
非DBH_1ホモ 0人 3000人 3000人
合計 1000人 3000人 4000人

通常観察される連鎖不平衡は、このように強いものばかりではありません。例えば、4000人中640人がDBH_1ホモかつO型ということもありえます。弱い連鎖不平衡、いわば60%程度の連鎖不平衡が存在すると言えます。この集団で血液型と性格の相関解析を行なっても、O型の人に攻撃性が強いという傾向は出るでしょう。しかし、弱い傾向しか出ず、DBH遺伝子を直接調べたほうが強い相関が観察できます。
表3 【弱い連鎖不平衡がある場合】

O型血液型 非O型血液型 合計
DBH_1ホモ 640人 360人 1000人
非DBH_1ホモ 360人 2640人 3000人
合計 1000人 3000人 4000人

いったいなぜ、連鎖不平衡が起こるのでしょう?連鎖不平衡は、複数の遺伝子座が、染色体の非常に近い位置にある場合に起こります。この場合、DBH遺伝子座とABO式血液型の遺伝子座が非常に近ければ、こういった連鎖不平衡が起こります。一般的には、遺伝子間の距離が近ければ近いほど、対立遺伝子が生じた時期が新しければ新しいほど、連鎖不平衡が強いと予測できます。距離が遠かったり、対立遺伝子が生じた時期が古かったりしたら、遺伝子座間で組み替えが起こり、連鎖不平衡が失われるからです。

対立遺伝子の新しさについての情報を得るのは困難ですが、ヒトゲノムにおける遺伝子間の距離の情報ならば、容易に入手できます。DBH遺伝子の位置は9番染色体の約127.6 Mb、ABO式血液型の遺伝子座は約127.2Mbです。その距離は少なくとも300 kb(300000塩基対)以上です(NCBI, 2002/10/11)。ABO式血液型を決定する遺伝子と同じ場所にDBH遺伝子があるという主張は間違いです。同じ場所ではなく、300 kb以上離れた場所に存在します。北ヨーロッパ由来のアメリカ人を対象にした大規模なスタディでは、連鎖不平衡の及ぶ距離は平均60 kbだと示されていますし(Reich et al, 2001)、私の所属する研究室の日本人集団のデータでも300 kbを超えた連鎖不平衡はきわめて例外的です(一塩基多型でのデータ)。

連鎖不平衡の程度は集団やゲノムの場所によって異なりますが、300 kb以上も離れた位置にあるDBH遺伝子とABO式血液型の遺伝子が連鎖不平衡にある可能性は小さく、仮に連鎖不平衡があったとしてもきわめて弱いものだと考えられます。ABO FANで引用されている情報だけでは、「血液型と性格の関係があっても不思議ではない」とは言えません。DBH遺伝子で血液型と性格の関連を説明できる、すなわち300 kb以上も離れた位置にあるDBH遺伝子とABO式血液型の遺伝子が強い連鎖不平衡あるとすれば、私にとってはそっちのほうが不思議です。

O型の人は血小板MAOが少ない?

 次は、血液型別に行きましょう。まずはO型です。

Blood Type O and MAO

MAO levels show some variability according to blood type, and again the consequences seem much more significant for Type Os. A 1983 study of seventy healthy young males showed that the platelet MAO activity of Type O subjects was substantially lower than that of other blood types-having the effect of making the control of catecholamines more difficult for Type Os.

MAO(モノアミン酸化酵素)のレベルは血液型によりいくらかの変動を示し、O型により顕著に影響が現れる。1983年に行われた、70人の健康な若い男性に対する研究により、O型は他の血液型よりも血小板MAOの活動が大幅に低いことが示された。O型は、カテコールアミンのコントロールが他の血液型よりも困難なのである。

 なお、元の論文はこちらです。

Arato, M., G. Bagdy, Z. Rihmer, Z. Kulcsar. "Reduced platelet MAO activity in healthy male students with blood group O." Acta Psychiatr Scand, February 1983; 67(2): pp. 130-34.

(ABO FAN, http://www2.justnet.ne.jp/~shozo_owada/dadamo.htm)
血小板MAO活性低下とO型血液型の相関の報告は信頼できません。仮に相関が真であったとしても、それだけでは血液型と性格の相関を示したことにはなりません。 詳細は血小板MAO活性と血液型についてを参照ください。

A型の人は血清コルチゾル値が高い?

Type A: The Cortisol Factor

In one imaginative study, the researchers decided to study the levels of cortisol made by the different blood types in response to a stress. The "stress" they chose was economical and imaginative-having blood drawn. Since getting blood drawn is stressful for most people, they figured they could stress subjects and test their blood levels in one step. The result: serum cortisol concentration was the highest in Type As (average 455 nmol/L), as opposed to Type Os (297 nmol/L). As we might expect, Types B and AB were somewhat in the middle, with Type B (364 nmol/L) closer to Type A, and Type AB (325 nmol/L) closer to Type O.

 なお、元の論文はこちらです。

Glaser, R., J. K. Kiecolt-Glaser, W. B. Malarkey, and J. F. Sheridan. "The influence of psychological stress on the immune response to vaccinens." Ann NY Acad Sci, May 1, 1998; 840: pp. 649-55

(ABO FAN, http://www2.justnet.ne.jp/~shozo_owada/dadamo.htm)

元の論文は、「ワクチンに対する免疫応答における精神的ストレスの影響」という話ですね。で、どこが血液型の話なのでしょう?元の論文には、まったくABO血液型の話は出ていません。いったいどこからこの論文が出てきたのでしょう?謎です。ダダモ氏がいい加減に書いたのをABO FANが真に受けて吟味せずそのまま載せたか、あるいは、ダダモ氏はきちんと論文を引用していたのに、ABO FANが間違って異なる論文を元の論文として載せたか、いずれかでしょう。どっちにしろ、ABO FANの文献提示の方法には問題がありそうです。

B抗原は一酸化窒素に対する反応性に影響している?

次は、B型とAB型です。

Type B and Type AB:
The Nitric Oxide Factor

New research suggests that the mental processes of those who carry the B antigen may also be influenced by the nitric oxide molecule...
Recently, two notations in the medical journal Lancet reported that patients who possessed a B antigen (Type B and Type AB) appeared to clear nitric oxide more rapidly than the other blood types when it was administered through inhalation therapy for certain pulmonary conditions. 25
The authors or the Lancet pieces had no clue as to why there might be a relationship between the B gene and the activity of nitric oxide, yet one of the possible answers lies right next to the ABO gene on 9q34. It is a gene for the enzyme arigonosuccinate synthetate (ASS), which is critically responsible for the recycling or arginine.

 なお、元の論文は日本(東京医科歯科大?)のもののようです。

Expression of a blood group B antigen-related glycoepitope in human dorsal root ganglion cells. Yamada M, N. Yuki, T. Kamata, Y. Itoh, T. Miyatake, Department of Neulogy, Faculty of Medicine, Tokyo Medical and Dental University, Japan.

(ABO FAN, http://www2.justnet.ne.jp/~shozo_owada/dadamo.htm)

ABO FANの引用によると、ランセット誌(イギリスの臨床系医学雑誌)の2つの報告が、B antigen(B抗原)を持つ患者(B型またはAB型)はnitric oxide(一酸化窒素)吸入療法において、他の血液型と差があるとしているとダダモ氏は主張しているようです。ABO FANが提示している元の論文とやらに当りましたが、B抗原と一酸化窒素に関するものではありませんでした。そもそも提示してある「元の論文」はランセット誌の論文ですらありません。この元論文は、「B血液型抗原関連糖エピトープがヒト後根神経節細胞に発現している」という話です。B血液型抗原関連(B antigen-related)糖エピトープであって、B抗原そのものでないところに注意してください。単に、B抗原に似ている糖エピトープが神経節細胞に発現しているという話です。論文によれば、ABO血液型にかかわらず、この糖エピトープは発現しているんだそうです。無理矢理こじつけない限り、血液型と性格に関係しそうな話ではありませんね。いずれにしろ、ダダモ氏を引用している部分とは関係がありません。直前のA型のときもそうでしたし、単なるミスというより、そもそもABO FANは、元論文をまったく読まずに提示しているようです。ABO FANが他の血液型は翻訳は省略します。(^^;;と書いた真の理由がわかったような気がします。

ランセット誌と限定されているので、ダダモ氏が提示したかった本当の元論文らしきものを検索できました(Weimann et al. 1998, McFadzean et al. 1999)。一方の論文は確かに、急性呼吸促迫症候群(ARDS:Acute Respiratory Distress Syndrome)における一酸化窒素吸入療法に対する反応が、A型+O型(n=111)とB型+AB型(n=27)の比較で有意な差があったとしています(Weimann et al. 1998)。ところが子どもを対象(n=133)にしているもう一方の論文は、一酸化窒素に対する反応についてABO血液型別に差を見つけることができなかったと結論しています(McFadzean et al. 1999)。Medlineで、Nitric oxide(一酸化窒素)とABO blood-group system(ABO血液型)でAND検索した結果、この二報以外は検索できませんでした(Medline 1966 to July 2002)。B抗原の有無によって一酸化窒素に対する反応性の差異があるという説には再現性の報告はないようです。B抗原が一酸化窒素に対する反応性に影響しているという報告自体が信頼性に乏しいものですし、仮にその報告が正しいとしても、性格と一酸化窒素に対する反応性がいったいどう関係してくると言うのでしょう?

なぜこのようなあやふやな論文しか提示できないのか?

ある程度調べられている任意の遺伝子に関して、ABO FANがABO血液型に関して提示したような「性格に関係があるような、ないような、あやふやな」医学論文を見つけることは難しくありません。「染色体の同じ部分に性格に関連しそうな遺伝子がある(その遺伝子が本当に性格に関連しているかどうかはわかっていないし、その遺伝子と連鎖不平衡にあるかどうかもわかっていない)」「似たような抗原が神経系に発現している(その似たような抗原が性格に関連するかどうかはわかっていない)」「ある薬物に関する反応性に関係しているかもしれない」という条件を満たす遺伝子は、ABO血液型を決定する遺伝子に限らず、たくさんあるでしょう(例えばHLA[Human Leukocyte Antigen:ヒト白血球抗原]がそうだろう)。ABO血液型が特別である、すなわち性格に強く寄与する証拠にはなりません。

遺伝学者にとって、もし性格に寄与する遺伝子を発見できれば、たいへんな名誉となります。一般に信じられている血液型性格診断のように強く、あるいはABO FANや能見親子の主張ほど強く、ABO式血液型と性格に関連があるのであれば、いったいなぜ、ABO式血液型と性格の関連を直接的に示した医学論文がこれほど少ないのでしょうか?私は、血液型と性格に関連がないか、関連があっても小さいものであるからだと考えます。

この事例からは、詳しく検討してみると不十分なものしかないにも関わらず、さまざまな論文を引用してみせて疑似科学的な主張を擁護するという手法に注意すべきだという教訓が得られます。典型的なものは、たとえば、「健康食品が試験管内で癌細胞の増殖を抑制する」という論文をもって、「健康食品が癌に効く」という結論を導いたりします。試験管内で癌細胞の増殖を抑制するが生体内では効果が認められない物質などゴマンとあることを知らなければ、なるべく多くのデータを集めようとし、その中で、複数のデータが一致すれば正しい(のだろう)と判断したつもりでも、間違った判断をしてしまうこともあるでしょう。試験管内での論文を複数提示されたとしても、「いったいなぜ、健康食品の効果を臨床的に直接示したデータがないのだろう?」と問うことができるようになりたいものです。


(注) A型+O型とB型+AB型という分け方の正当性について、多重検定の問題、後付けによる検定の問題がなかったかどうか、疑問である。個人的にはWeimann et al. 1998がLancetに載ったのは驚きである。まさに、1980年前後の時代の循環器の医者で喩えたようなことをやっているわけだから。遺伝学の雑誌なら、一流紙には絶対に載らない。否定的な報告もあるし、おそらくはタイプ1エラーであろうが、もしB抗原と一酸化窒素に対する反応性の相関が本当だとしたら、B対立遺伝子と連鎖不平衡にある一酸化窒素反応性に関係する遺伝子を探す価値はあるだろう。ただし、ダダモ氏が示唆するASS(ArgininoSuccinate Synthetase[ABO FANの引用にはスペルミスがある])の遺伝子の可能性はきわめて低い。なぜなら、ASSは9q34に乗っているもののその位置は約124.3 Mbであり、ABO遺伝子座の約127.2 Mbからは約3 Mbも離れているからである(NCBI, 2002/10/16)。ダダモ氏には、9q34に乗っている遺伝子がみなABO Blood Groupと関係があるように見えているようだ。


参考文献

Reich DE. Cargill M. Bolk S. Ireland J. Sabeti PC. Richter DJ. Lavery T. Kouyoumjian R. Farhadian SF. Ward R. Lander ES. Linkage disequilibrium in the human genome. Nature. 411(6834):199-204, 2001
Arato M. G. Bagdy Z. Rihmer Z. Kulcsar. Reduced platelet MAO activity in healthy male students with blood group O. Acta Psychiatrica Scandinavica. 67(2):130-34, 1983
Glaser R. Kiecolt-Glaser JK. Malarkey WB. Sheridan JF. The influence of psychological stress on the immune response to vaccines. Annals of the New York Academy of Sciences. 840:649-55, 1998
Yamada M. Yuki N. Kamata T. Itoh Y. Miyatake T. Expression of a blood group B antigen-related glycoepitope in human dorsal root ganglion cells. Journal of the Neurological Sciences. 126(2):178-83, 1994
Weimann J. Bauer H. Bigatello L. Bloch KD. Martin E. Zapol WM. ABO blood group and inhaled nitric oxide in acute respiratory distress syndrome. Lancet. 351(9118):1786-7, 1998
McFadzean J. Tasker RC. Petros AJ. Nitric oxide ABO blood group difference in children. Lancet. 353(9162):1414-5, 1999
Tom Strachan and Andre P.Read ヒトの分子遺伝学第二版 メディカル・サイエンス・インターナショナル
National Center for Biotechnology Information (NCBI) http://www.ncbi.nlm.nih.gov/
形質マッピングホームページ http://www.genstat.net/
ABO FAN http://www2.justnet.ne.jp/~shozo_owada/

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2004/7/24最終改訂
2002/10/16