進化論と創造論についてのツリー式掲示板

スレッド No.2973

ダーウィニズムと社会観 [ 安賀須若人 ] 2001.08.09 19:03 No.2973

果たしてダーウィニズムなのか？ [ ノリリン＠第３次元の王子 ] 2001.08.10 09:32 No.2978

Re: 果たしてダーウィニズムなのか？ [ 安賀須若人 ] 2001.08.10 17:44 No.2985

キリスト教の教派の系統樹 [ ノリリン＠悪のオ～ナ～ ] 2001.08.13 10:54 No.3004

御礼 [ 安賀須若人 ] 2001.08.20 18:00 No.3077

Re: ドーキンスの性格 [ wadja ] 2001.08.20 22:54 No.3082

いえいえ、どういたしまして、　re：啓蒙主義の暴力 [ ノリリン＠シュモクザメ天国 part３ ] 2001.08.21 00:05 No.3085

[2973] ダーウィニズムと社会観

投稿者名: 安賀須若人
投稿日時: 2001年8月9日 19時03分

「科学は思想だ」議論については一段落つきましたので、震源となった「進化論が持つ社会観・人生観」問題について考えてみたいと思います。そこで社会ダーウィニズムについて考えてみます。

注意していただきたいのは「社会ダーウィニズム」には２つの流れがあることです。一つはスペンサーとその直系とでもいうべきサムナーあたりの「社会進化論」です（鉄鋼王Ａ．カーネギーの思想もこの流れに属します）。もう一方は、悪評が高い「国家間の生存競争」説の系譜で、進化生物学者でもあるヘッケルの一元論などが属します。後者は優生学や民族衛生学とも絡みあいながらナチスの思想的基盤に寄与しています。以下、便宜的に前者を社会進化論、後者を国家進化論として区別します。

ウィルソンらの社会生物学に対して「社会ダーウィニズムの亡霊」といった非難が加えられる場合に念頭にあるのは国家進化論的なもののようで、反論もそのようなものではないといった感じのものが多いようです。ところが問題はそう単純でもないように思います。
社会生物学は準拠している生物学理論が行動生態学であり、半ばラマルク的進化論であったスペンサーとは大幅に違うものの、社会現象に進化論を応用するという根本的な発想自体は社会進化論と共有しています。また、哲学者でもあったスペンサーは性急に「である」から「すべし」を導き出して評判が悪いですが、学術的に見るとスペンサーはコントと並んで社会学の祖とされており、サムナーも専門的な社会学の学説史に登場する主要な人物です。（ただし、サムナーは社会を有機体としてみる観点などを引継いでいるものの生物学との関連は薄いようですので、進化生物学側からは軽視されている傾向があるようです）。つまり、社会進化論は正統な社会科学であったのです。また進化論的観点から社会現象を研究すること自体が、社会科学としての科学性を否定されたわけではないようです。社会科学理論としての社会進化論の衰退自体は科学性を否定されたためというよりは、Ｅ．デュルケームらの機能主義やＭ．ウェーバーらの理解社会学の登場によって主要理論の座から降りたこととが大きいようです（私は社会学は全くの素人ですので間違いや考え違い等あるかもしれません）。
これらの点を考慮すると社会生物学は社会進化論の直接的な系譜には属さないものの「社会生物学は社会進化論のリバイバルだ」という言説はあながち不当ではないように思います。そうであれば「進化論が持つ社会観はない」というためには、「社会生物学は進化論から導かれない」と主張する必要があるのではないでしょうか。しかし現代の進化生物学者の中でそこまで強い主張をしているのは主流派なのでしょうか？

政治思想として（スペンサー型）社会進化論が衰退したのはマルクス主義の台頭によるところが大きいようですが、マルクス主義の衰退後に政策的に有力になってきている「市場万能主義」は、価値観において社会進化論と極めて類似性が強いことも指摘しておきます。

参考ページ
http://meme.biology.tohoku.ac.jp/INTROEVOL/Page27.html
http://www.valdes.titech.ac.jp/~shingo/gakusi.htm

To：かくりさん
話は変わりますが、ＫＯＲＮの紹介ありがとうございました。

[2978] 果たしてダーウィニズムなのか？

投稿者名: ノリリン＠第３次元の王子 (ホームページ)
投稿日時: 2001年8月10日 09時32分

弱肉強食とか、生者必滅とか、傲る平家は久しからずとか、コ毒（１００匹の虫を互いに戦わせて、勝ち残った一匹で作る毒・・・だったかな？）とか、獅子は我が子を千尋の谷に突き落とすとか・・・

なんとなくダーウィニズムに関係がありそうで、１９世紀半ばのダーウィンに直接関係のない発想というのは古くからあった様な気がします。
ダーウィン以前にも科学的な（装いの）進化論が実際あったことは上の奇妙で科学的でない事例を持ち出すまでもなく歴史的に明かなのですが、それ以前にも、それ以外にもなんとなく、進化論に類似した科学にまで至らない発想はあっただろうと思うんですよね。

考えてみると、ダーウィニズムが社会ダーウィニズムを生んだのではなくて、同じ発想の流れの果てに、一方は生物学でダーウィニズムにいたり、一方は社会科学の中で流れを作った。
のではないかなと思いますが？

付録
プロレスダーウィニズム

興行的勧進相撲　　　エドサンテスｖｓ柔道　　　
　　　↓　　　　　　　　　↓
　　　↓　　　　　　　　　Ｘ（死滅）
　　　↓
力道山（日本プロレス）　　初期の女子プロレス　　　木村のプロ柔道　その他
　　　↓　　　　　　　　　　　↓　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　↓　　　　　　　　　　　Ｘ（死滅）　　　　　Ｘ（死滅）力道山により淘汰
　　　↓　　ｖｓ　　東富士
　　　↓　　　　　　　↓
　　　↓　　　　　　　Ｘ（死滅）　力道山により淘汰
　　　↓
　　　↓　　　　　　　　　　　大阪の方にあったプロレス団体（西日本プロレス）
　　　↓　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　↓　　　　　　　　　　　Ｘ（死滅：Ｍｒ高橋が新日本プロレスのミトコンドリアに）
　　　↓　　
　　　↓　　　　　　　　　東京プロレス　　　　　　　　　　　　　　国際プロレス　
　　　↓　　　　　　　　　　　↓　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓
　　　↓　　　　　　　　　Ｘ（死滅：）　　　　　　　　Ｘ（死滅）遺伝子は散らばる
　　　↓
　　　↓→→→→→→→→→→→→↓　　　　　ＵＦＯ、ＺＥＲＯ－ＯＮＥ（生物学的に同じ種の可能性）
　　　↓　　　　　　　　　　　　　　　　　↓　　　　　　　↑
全日本プロレス　　　　　　新日本プロレス（生存中：dominant）→第１次ＵＷＦ→第２次ＵＷＦ
　　　↓
　　　↓→→→→ＳＷＳ→→→→ＷＡＲ、ＳＰＷＦ→Ｘ死滅、または殆ど死滅
　　　↓
　　　↓→→→→ＦＭＷ、大日本プロレス　　　　
　　　↓
　　　↓→→→→→→→→
　　　↓　　　　　　　↓
△滅亡の危機　　　　ＮＯＡＨ

・・・・・・・・・・・・・大変だからここら辺でやめる

[2985] Re: 果たしてダーウィニズムなのか？

投稿者名: 安賀須若人
投稿日時: 2001年8月10日 17時44分

ノリリンさん、こんにちは

> 考えてみると、ダーウィニズムが社会ダーウィニズムを生んだのではなくて、同じ発想の流れの果てに、一方は生物学でダーウィニズムにいたり、一方は社会科学の中で流れを作った。
> のではないかなと思いますが？

私もそのように理解した方が良いのではないか思います。
従来からもスペンサーはダーウィニストではないと言われていますが、同じ発想の流れにあったと見なす方が、「関係ないのに混同した」と見なすより良いのではないかと思います。

プロレスの系統樹も面白いなと思いました。
キリスト教の教派の系統樹も面白いのではないかと思うのですが、誰か詳しい人が作ってくれたらいいのですが。。。

[3004] キリスト教の教派の系統樹

投稿者名: ノリリン＠悪のオ～ナ～
投稿日時: 2001年8月13日 10時54分

> キリスト教の教派の系統樹も面白いのではないかと思うのですが、誰か詳しい人が作ってくれたらいいのですが。。。

どれくらい正確で出来のいいものかは分かりませんが、学研のムックで『キリスト教』という奴がでていて、それに載ってたと思いますよ（４年前の知識）

[3077] 御礼

投稿者名: 安賀須若人
投稿日時: 2001年8月20日 18時00分

ノリリンさん、こんにちは

> どれくらい正確で出来のいいものかは分かりませんが、学研のムックで『キリスト教』という奴がでていて、それに載ってたと思いますよ（４年前の知識）

ご紹介どうもありがとうございました。購入いたしました。私のようなキリスト教の歴史に不案内の者には役に立ちそうです。

医学や分子生物学（ゲノムプロジェクト等）では生命倫理がかなり真剣な問題にされているのに比べると、進化生物学での倫理的問題への取り組みはちょっとぬるま湯に浸かっている感じがします。ドーキンスにしてもセンセーショナルな比喩を使うわりには、社会に対する影響に鈍感な感じがします。

科学的記述自体に価値判断が含まれていないにしても、社会に現存する価値体系の中に組み込まれたときに、どのような価値的あるいは倫理的意味合いを持ちうるのかについて鈍感であってはまずいと思います。
そういうことに鈍感で創造論を単純に馬鹿にすることに喜びを見出す人達に多々見られる「啓蒙主義の暴力」には正直言ってぞっとします。

[3082] Re: ドーキンスの性格

投稿者名: wadja
投稿日時: 2001年8月20日 22時54分

安須賀さんこんばんわ。

>ドーキンスにしてもセンセーショナルな比喩を使うわりには、社会に対する影響に鈍
>感な感じがします。

逆に、wadjaはドーキンスが意図的にやってるような気がしてなりません。「ダーウィンウォーズ」に出てくる彼って、決して温厚な紳氏ではなさそうですもんね。敢えて誤解を招いて社会を議論の渦に巻き込んでおいて、彼の罠にまんまと引っかかった人々を嘲っているような気がしないでもない。それとも、単に名前を売るための戦略なんだろうか？「selfish gene」なんて造語は（純粋に彼の発明でしたっけ？）、確信犯に思えて仕方ない。

考え過ぎかもしれませんが、自分で言ってて滅茶苦茶性格の悪い人間に思えてきた。

[3085] いえいえ、どういたしまして、　re：啓蒙主義の暴力

投稿者名: ノリリン＠シュモクザメ天国 part３
投稿日時: 2001年8月21日 00時05分

安賀須若人さん　こんばんは

儂も啓蒙主義の暴力に関しては考えるところはありますが、明日（今日かも）４時おきなのでまた今度にします

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