最近、やたらと韓国や中国の悪口を言う人たちが増えていると思いません?確かに、中国や韓国の人のすべてが善人というわけでもないし、特に中国の政治的な態度は正直あまり好きではありません。でもね、日本の隣人として愛すべき、素晴らしい文化を持った国であることも確かです。日本の過去をやたらと賛美して、韓国や中国に見当はずれな攻撃を加える人たちはいったいどういうつもりなんでしょう?キーワードは「美しい日本」「愛国心」など。フェミニズムや個人主義を目の敵にするのも、彼らの共通点です。
政治的な分類で言えば、保守・右翼になるんでしょう。革新・左翼の中に馬鹿がいるのと同様に、保守・右翼の中に馬鹿がいるというだけなのだろうとは思います。韓国を嫌っている馬鹿の総称としては「嫌韓厨」という便利な言葉がありますが、こういう保守系の馬鹿を総称して指す良い言葉はないものですかね。「ネット右翼」というのも、ネットにいる右翼がみんな馬鹿なわけではないので、呼称として適切かどうかわかりません。まあ仮に、馬鹿右翼とでもしておきましょうか。当然、馬鹿でない右翼もいるでしょうから、区別して「馬鹿右翼」と呼ぶわけです。
■鼻行類―新しく発見された哺乳類の構造と生活 シュテュンプケ著。高度なジョークってのはこういうのを言うんだ。 |
さて、馬鹿右翼は2ちゃんねるや保守系ブログにたくさん生息しています。最初に、■科学で政治・社会を考える:論理政治科学研究室を見たときは、てっきり、自分は理系だと思い込んでいる馬鹿右翼によるブログだと思ってました。だって、竹内久美子の本を真に受けて、進化論の立場から 「少子化は必ず回復する!」 ことを数学的に証明しちゃたりしているんですよ。ドーキンスもそう書いているんだそうです1)。馬鹿ですよね。竹内久美子のどこが間違っているのかわからない人は、このページを読んでも面白くありませんので、ブラウザの戻るを押して戻ってください。
このブログを書いた人は、紫藤ムサシさん。プロフィールを見ると、「自然科学・社会科学・人間科学で日本の政治・社会を解き明かします」「当ブログは”エセ科学・学問”を検証し、告発するサイトです」とか書いているわけです2)。いろんなところで、「理系保守」を自称しています。ついつい、突っ込んじゃったりしたのですが、あっと言う間にコメント削除になっちゃいました。
この時点では、紫藤ムサシさんのことをただの馬鹿右翼だと思っていましたが、はたと別の可能性に気付いたのです。ムサシさんは、山形浩生による竹内久美子批判(■竹内久美子:女のオヤジ)を読んだはずなのですが、山形による批判を「素人の浅はかさ」とムサシさんが評するのはともかくとして、竹内久美子自身が、自分の書くものについて「シュテュムプケ流の高度なジョークとして楽しんでほしい」と書いていることも知っているはずなのです。
■「知」の欺瞞―ポストモダン思想における科学の濫用 アラン・ソーカル著。ソーカルは内容デタラメのパロディ論文をポストモダン系の雑誌に投稿し、掲載された後に、「そりゃパロディだよん」と曝露したのだ。 |
通常の理解力のある人なら、自分で「高度なジョーク」と書いている人の本の内容から政治・社会を考えるのはまずいだろう、ということは分かるはずです。竹内久美子さんの本が好きで、ほとんど読んでいるというムサシさんがそのことに気付かないはずがありません。ムサシさんのブログは、「高度なジョーク」として読むべきものなのです!ムサシさんのブログの他の部分について、あまりにも不可解な間違いがいっぱいあるのにも、これで納得できます。ムサシさんは、馬鹿右翼の馬鹿さ加減をパロディとして表現することによって、行き過ぎた保守を批判しているのでしょう。紫藤ムサシは、保守界のシュテュムプケであり、アラン・ソーカルであるのです。これからは敬意をこめて、紫藤ムサシ先生と呼ぶことにします。
残念なことに、先生のジョークはあまりにも高度すぎて、理解されていません。ジョークの解説など野暮ですが、先生のブログには埋もれさせておくのは惜しいジョークがいっぱいでありますので、不肖、私めが、解説をいたしましょう。素晴らしい「理系保守」ワールドへようこそ。