写真だから真実だ

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紫藤ムサシ先生は、「悪魔の中国大陸:食人鬼・生体実験!1)というタイトルで、「中国・広東には”赤ん坊を食べる人”が沢山いる」「堕胎・生んだ後に捨てられた赤ん坊を、漢方薬の材料と煮込んで<赤ん坊のスープ>を作って食べている」という話を紹介します。衝撃的なタイトルからして笑いを誘うものですが、一番のみどころは、

 たしかに”インターネット上”には、「怪しげな情報」が飛び回っていることは事実ですが、これは 「写真という動かぬ証拠」 がありますから、 
 「真実だ!」と思います!

ここです。読者は、ここで腰を抜かすほど大笑いすべきです。現在の中国において食人がなされているかどうかは私にはわかりませんが、少なくとも、「写真だから真実だ」とは言えません。先生は、自分のイデオロギーに都合のよいものであれば、批判精神なく鵜呑みにする馬鹿右翼を高度なパロディとして表現しておられるのです。馬鹿右翼は、同様な主張-「南京大虐殺は、写真という動かぬ証拠があるから真実である」-を左翼が行った場合、熱心に写真を検証するはずです。そうしたダブルスタンダードも先生は表現されている。たった二行で馬鹿右翼の愚かさをここまで見事に表現できるのは、先生をおいて他ありません。

なおこの話には後日談があって、元ネタとなった写真は“芸術作品”であったのだそうです。この写真を取り上げた別のブログ2)の中には、

2005年6月11日付の西村幸祐氏の「日本軍残虐の嘘。胎児を食べるのは支那人。」 というエントリーがある。このエントリーの裏付けとなっているのが、私が引用した「告発 非人間的な中国人は赤ん坊を食べる」という記事である。
しかし、西村幸祐氏のエントリーの読者からのコメントにより、この記事の写真は、異常な芸術家のカニバリズム表現である可能性が高いことが判明した。

*コメント:この手の写真は4年くらい前にも見た事があります。中国人アーティストのZhu Yu
(シュ・ユ)氏による“芸術作品”なのですが、それはローストした胎児を食べて
いる写真でした。(実際に本物を食べて撮影)イギリスのChannnel4で特番が流され、
アメリカのFBIまで動いて大騒ぎしています。

したがって、引用記事は撤回の上、お詫びします。他に転用したりしないでください。

と、きちんと訂正されています。ブログの信頼性を保つためには、間違いがあったときには訂正を行うのは当然の態度と言えましょう。先生は、そうした態度を超越しておられ、当然のように訂正などしてはいません。先生は念のいったことに、

なお、私は”間違いがあった時”は直ちに訂正いたしております

とも書いています3)。「赤ん坊スープ」をめぐる写真について、きちんと訂正されたブログと比較することによって、みなさんもこのジョークが理解できるようになるでしょう。さらにこの話は続きがあって、

 私の記事のコメントには「食べているが、それがどうした?」と言うのもあり、「広東市警察が否定している」というコメントもあります。しかし、それなら中国政府が「事実無根のデタラメ・名誉毀損!」と大騒ぎに喚きたてるはずで、それを未だにしないのは、やはり「赤ん坊スープが事実」な証拠だと思います。

などと書きつつ2)

笑止千万であるが中国広東市の公安が”今回の食人鬼騒動”を「わが国を貶めるもの・・・」とか言っているそうな! 「盗人猛々しい!」とはこのことだ!

とも書いています4)。反論しなかったら「犯罪が事実である証拠だ」、反論したらしたで「盗人猛々しい!」というわけです。魔女裁判のようですね。

細かいギャグを入れるのも、先生は忘れません。

「農村の住民は第1胎が”女の子”ならば、第2胎を4年後に・・・」と記事にある。「女の子が犠牲になる」のである!「X線検査」で”お腹に居るうちに男か女かわかる”のである!”女の子だったら堕胎”してしまうのである。女の子に”XX玉”があるか!?

X線検査では胎児の性別はわかりません。X線ではXX玉は写りません。先生のブログのトップページには、進化論・生物学・数学に混じって、医学を使って現代政治・社会を読み解きとくと書いてあります。もちろん、X線と超音波の区別もつかない馬鹿が医学を使って現代政治・社会を読み解く傲慢さ、愚かさを先生は表現したのであります。


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2005/11/10作成

引用元URLリスト
1) http://houkoku.air-nifty.com/busi/2005/06/post_e421.html
2) http://banmakoto.air-nifty.com/blues/2005/07/post_0973.html
3) http://houkoku.air-nifty.com/busi/2005/10/post_cb41.html
4) http://houkoku.air-nifty.com/busi/2005/06/post_bca8.html